
講演会名称:第20回 CMSAIコロキウム
開催日時 :2025年6月4日(水)17時05分〜18時20分
講演会場 :ファカルティルーム(7号館3階)※対面+Zoom配信 (要事前登録)
主催 :中部大学AI数理データサイエンスセンター
共催 :生理学研究所、中部大学URA組織、
CRESTマルチセンシング領域「空間識の幾何による重力覚解明と感覚拡張世界創出」
参加登録URL: https://us02web.zoom.us/meeting/register/3G1bzCNlRyClAYEc5PKj_Q
短縮URL : https://tinyurl.com/ybkz5vwd
講演者 :佐々木 亮 ⽒(生理学研究所多感覚統合システム研究部門 教授)
講演題目 :「VR空間認知ナビゲーションを支える多感覚脳統合システム」
要旨 : 柔軟な意思決定、巧みな感覚運動変換制御を支える様々な認知機能の脳神経回路ダイナミクスを解明すべく、主にマカクザルをモデル動物とするシステム神経科学研究に従事してきた。まず初めに、発表者の一連の研究を概説しつつ、主に、意思決定における空間座標変換機構について紹介する(Sasaki et al., Nature neuroscience 2020)。
今後の研究の主要な視点として、動物一個体が複数の戦略を自在に駆使できる個体内の認知的な多様性の生物学的基盤に注目している。これまでの認知行動研究は、極めて単純化された実験課題にとどまり、自然界における動物本来の能力を発揮させるには限界がある。一方、自由行動下での無秩序な実験系では、実験的に制御できない要因が増えすぎてしまう。これらの問題を一挙に解決できるのが、近年、発表者が開発・遂行中であるヴァーチャルリアリティ (VR)を導入した実験系である。VRを駆使した空間探索課題や追跡・捕獲課題における柔軟な行動戦略を支える脳神経回路の最新データの一部を共有する。また、発表者自身の思い描く今後の霊長類ニューロサイエンス研究の展望、そして学際的融合研究としての発展・方向性について議論したい。